フォルテFC スポーツ合宿 × Yamabeering DAY 1「トレイルランニング」
- 2月15日
- 読了時間: 6分
更新日:2月16日
2025年11月29日と30日の2日間、南紀ウェルネスツーリズムが管理・運営する「上富田スポーツセンター」との連携により、特別なスポーツ合宿プログラムを実施しました。

大阪からコーチに連れられてやってきたのは、少年サッカーチーム「フォルテFC」の小学5〜6年生たち。天然芝や設備が整った上富田スポーツセンターをベースキャンプに、あえてそこから一歩踏み出し、普段のトレーニングとは全く異なる環境での身体作りに挑みました。身体感覚を磨くフィールドとしての「千品山(ちしなやま)」。拠点とフィールドが繋がることで生まれた、新しいスポーツ合宿の形を、デザイナーのちくりんがレポートします。
10:30|上富田スポーツセンター集合
合宿の始まりは、ベースキャンプとなる上富田スポーツセンターから。挨拶と案内人の紹介。期待と少しの緊張を胸に、バスはまーくん(記事の最後のプロフィールをご覧ください)が待つ千品山へと向かいます。
10:40|上富田スポーツセンター出発、千品山へ
バスは街の中を離れ、舗装路を離れ、やがてグネグネと曲がりくねった林道へと入っていきます。車窓から見える景色が高度を増し、パッと視界が開ける見晴らしポイントに差し掛かると、子どもたちから「うわあ!」と大きな歓声が上がりました。 大阪の街並みや、いつもの平坦なグラウンドとは対照的な緑と高度感。この移動時間そのものが、日常のスイッチを切り替え、森に入っていくための大切な導入となっていきます。
11:25|山の「仙人」まーくんとの出会い・トレランコース確認
千品山に到着すると、体験ゾーンまで徒歩で移動。トレラン講師のまーくんが山の中から走り出てきました。その演出に子どもたちは「山の仙人が来た!」とボルテージは一気に上がります。

まーくんの軽い自己紹介タイムが終わったら、すぐに一行は「森林浴ゾーン」へと移動します。「やっほー!」と森の奥まで届くような大きな声を張り上げる子どもたち。その表情は、子どもらしい開放感に満ち溢れていました。まずは導入として、準備運動、目を閉じて静かに森の音を聴く瞑想の時間を実施し、五感を研ぎ澄ますワークからスタートします。
その後、さっそくまーくんは子どもたちを連れて森を歩きます。ここでは特に走り方の指導はせず、土の柔らかさ、木の香りなど、まずは全身で森というフィールドを感じさせます。そして、それぞれに感じたことをみんなで共有する。それが、これから始まる「自分の身体との対話」の準備となります。


11:55|ウッドデッキ周辺で昼食・トイレ休憩・自由時間
12:35|トレーニング・走り方講座
ウッドデッキ周辺でお弁当を食べて英気を養ったら、いよいよ午後の本格的なトレーニングへ。 まーくんの真骨頂は、グラウンドでの基礎練習を「山」という特殊な環境へと読み替える力にあります。
森林浴ゾーンで行った「棒バランス」は、拾った木の棒を手のひらで支える一見シンプルな遊び。しかし、足場が不安定な森の中では、体幹、動体視力、そして反射が試される高度なトレーニングへと姿を変えます。さらに、プランクや肩甲骨体操など、森というフィールドで行うことで、身体は全く別の反応を示し始めます。




コースを軽く走りながら一周する間も、登りや下りのポイントごとにまーくんのレクチャーが挟まれます。その傍らで、植林された苗木の説明を交え、ここが「木を育む場所」であることも伝えていきます。


石や木の根が露出したトレイルは、一歩ごとに状況が激しく変化します。 ここでバランスを取ることは、股関節や肩甲骨を滑らかに繋ぐ「連動性」を呼び覚ますプロセスそのものです。
「普段の走り込みに飽きている子供たちも、この環境では目の色が変わります」と、まーくんは言います。 いつもの整ったグラウンドでは眠ってしまう身体の野生が、森の複雑さと対話することで、鮮やかに目覚めていきました。


13:40|チーム分けとタイムトライアル
レクチャーを終え、いよいよ実践の時間です。 チームは「足の速いチーム」と「平均的なチーム」の2つに分かれ、1周600mのトレイルコースを2周ずつ走ります。
まーくんが開発したこのコースは、登りダッシュで極限まで追い込める林道と、繊細なステップワークが試される急傾斜の尾根道を組み合わせたもの。ここでは「競争」というスパイスが加わり、子どもたちの集中力はさらに研ぎ澄まされます。
「レクチャーを受ける前に走った感覚」と「今の感覚」の違い。 自分の身体が、以前よりもスムーズに、力強く動く瞬間を、子どもたちは自分自身で「発見」していきます。まーくんは、この自発的な気づきこそが、日常のサッカーに戻った後も自ら探求し続ける力になると確信しています。
少しの休憩を挟み、2本目は「逆回り」に挑戦。 傾斜が変わることで、これまでとは異なる応用力が試されます。不整地を楽しみながら、いかに体を使って駆け抜けるか。
最後は、1本目のタイムトライアルの結果をもとに表彰を行いました。優勝者には山にある木で作られた即席の優勝盾(トロフィー)がまーくんから手渡されました。とてもYamabeeringらしい表彰式となりました。


14:30|クールダウン
トレーニングという「受け身の学び」の後に設けたのは、あえて目的を持たない自由時間です。子供たちは自然に二つの班に分かれ、即興で「ティピー(秘密基地)」を作り始めました。 指示を待つのではなく、自発的に森と関わる「能動的な創造性」。この無目的な「遊び」の時間こそが、山という環境の中で得た身体の感覚を、自分自身の「知恵」へと昇華させる重要なプロセスなのです。

15:05|スタディゾーンで森を学ぶ
最後は山主・ちっしーによる森林学習。木の根がどこまで伸びているか。思い切り走り回ったこの山が、実は多くの命を支える場所であること。動的な体験の後に訪れるこの静かな学びは、子供たちの心に深く、森と自分との繋がりとして刻み込まれました。



15:30|現地を出発
1日目のプログラムを終了し、バスに乗って千品山を下山。上富田スポーツセンターに帰ります。
DAY 2「チームビルディング」に続く

まーくん|中川 政寿 トレイルランナー / インタープリター
和歌山県田辺市龍神村在住。トレイルランナー、ロースター、そしてさつまいも農家という多彩な顔を持ちながら、森と共にある暮らしを営んでいます。
標高の高い山々から立ち上る川霧や、網目のように広がる古道に魅せられた彼は、今、幻の熊野古道と呼ばれる「奥辺路(おくへじ)」の再生に力を注いでいます。かつての道に再びスポットライトを当てるため、「トレイルを楽しむ者が、その道を自らメンテナンスする」という哲学のもと、自ら道普請(みちぶしん)を実践。自分たちが遊ぶフィールドを持続可能なものへと編み直すことで、生命の循環という自身の想いを伝えています。

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